先日、郵便局でのこと。郵便局は民営化しましたが、(余計な?)業務が増えているようで局員は大汗かきながら窓口業務をこなしていました。客はというと、年末ということもあり大勢いましたが、やはり高齢化の波は押し寄せていてご老人が目立ちます。
そんなご老人がなにやら窓口でもめている。よく観察すると、ハンコが違うらしい。局員に説得されてご老人も納得したらしく「いやーもうろくしたなぁ」を連発していました。
この「もうろく」とは何なのでしょう?
「もうろく」とは漢字で書くと「耄碌」になります。「耄」はおいぼれること。このおいぼれる、も漢字で書くと「老い耄れる」となります。つまり老いて衰えることをいいます。
歳をとり、その結果思考力・記憶力などがひどく衰えて何がなんだかわからなくなることを「耄碌した」といい、自嘲したり、また他人に対して軽い侮蔑を含んで用いられる言葉です。
「耄」という言葉は「老いて更に毛のように細くなる」という意味。、江戸時代あたりには使われていたようで、当時は80、90歳くらいの高齢な老人をさしていいました。平均寿命が40歳から50歳くらいの時代ですから、長寿の意味もあったのではないでしょうか。
耄碌の「碌」は役に立たないこと、を意味します。「碌」という字の右側の「つくり」は緑、禄、録などと同じですが、これらは皆「生きていくうえで役に立つもの」という前向きな意味があります。ところが「へん」が石の「碌」の字は、石は食べられないし、あまり役に立たない、という意味であるようです。「ろくすっぽ役に立たない」の「ろく」はこの「碌」をあてて使います。
ま、歳をとるのは自然の摂理。耄碌するのも仕方のないことです。せめて周りに迷惑をかけないよう、穏やかに耄碌していきたいと思う今日この頃。