大統領とは、国民が選挙で選ぶ「国を代表する最高責任者(president)」です。民主主義で選んだのが大統領、君主制での最高責任者としては国王(king)がほぼ同じ立場となります。国王というのは、国民が選んだわけではなく、その国で伝統的に継承されるもので、日本では天皇(emperor)がそれにあたります。
大統領は政治的に大きな仕事がありますが、国王は現在では象徴的になっている場合も多く、強大な権力を持つ国王というのは存在しえなくなっています。国王や天皇が存在する国は、伝統的に大統領制を採っていません。日本でも大統領制を論じられることがありますが、天皇制を採っている以上、大統領制の可能性は低いです。
大統領と比較されるのが首相。首相というのは首席宰相の略で、行政における各大臣を代表するのが首相(Prime minister)。日本では総理大臣が同じ意味を持ちます。大臣は議員の中から選び、その議員を国民が選びます。大統領は国民が直接選ぶことができますが、首相は国民が直接選ぶことができません。
大統領と首相が存在する国があります。ロシアや韓国などです。こういった国では、大統領は国を代表して外交に当たります。一方で首相は内政にあたります。どちらが偉いか?というと、大統領です。しかしロシアの大統領プーチンは、2008年の任期満了後も首相として就任する予定となっており、事実上最高権力者としての影響力を持つこととなるでしょう。
大統領がいて首相がいない国の代表格はアメリカ合衆国です。アメリカの大統領は首相も兼ねているからです。国を代表して交渉役にあたっているライス国務長官が実務上の首相役といっていいでしょう。ちなみに国務長官という名ですが、この地位は大統領、副大統領、下院議長、上院仮議長に次いで位置する重要なポストです。
国家の代表者は国によって呼び名が異なります。それは政治のシステムが違うからです。日本では「総理大臣」ですが中国では「国家主席」、北朝鮮では「総書記」、アメリカやロシアは「大統領」。それぞれに国の事情が絡んでいます。