先日、日経新聞を読んでいたら、こんな「無断引用」の記事がありました。
<日本経済新聞>業界紙記事を無断引用 担当者ら処分
日本経済新聞社が6月16日付朝刊で掲載した広告特集「東京・大手町再開発」の記事の中で、日刊建設通信新聞の記事や表を出所を示さず無断引用していたことが分かった。同社は、15日付で記事を執筆した広告局員と上司を懲戒処分にし、16日に日刊建設通信新聞に謝罪した。(7月17日11時0分配信 毎日新聞)
これはいうならば「無断引用」ではなく「無断転載」あるいは「盗用」というべき事件でしょう。よく巷のホームページにも「無断引用禁止」などと書かれているのを目にしますが、もともと「引用」は「無断」でするものです。
◆著作権法 第三十二条(引用)
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
著作権法にもありますように、引用は著作者に断りなくやっていいけれど満たすべき要件があります。この要件を満たさないと著作権法違反となり、著作権の侵害となります。
正しい引用の仕方
・引用部分が従であり、自分の文章が主である(主従の関係)
・引用することが必要不可欠(必然性))
・引用は原文のまま使用する(勝手に書き換えない)
・引用元の明示(出典を明らかにする)
著作権の侵害は刑事罰(懲役刑、罰金刑)となりますので、心しなければなりません。ただし刑事罰が科されるのは、著作権を故意に侵害した場合のみ。過失により著作権を侵害した場合は刑事罰は科されません。また、著作権侵害罪は親告罪、つまり侵害された本人が告訴する必要があります。他人が著作権侵害を見つけてそれを訴えることはできないのです。
というわけで、無断転載はいけませんが、引用は無断でどんどんやりましょう。