例えば、蚊に刺されると痒いですよね?
この日常にある当たり前の事も、40億年という長い地球上生命の歴史の中で試行錯誤されてきた結果のひとつなのです。
人類が祖先が誕生して間もない頃は、蚊に刺されても痒く感じなかったかもしれません。蚊に刺されようが刺されまいが感じないので誰しも蚊に刺され放題です。
しかし蚊は伝染病を伝播する媒体ですから、蚊に多く刺される人は伝染病にかかって死亡することが多くなってきました。これは種の保全をし遺伝子を後世に伝える義務を負う人類(=生物)としては大問題です。このままでは蚊に刺されて皆伝染病になり、種が絶えてしまいます。
しかし、遺伝子はたいしたもので、こんなときにも「多様性」という対策を遺伝子設計図に盛り込んでおいたのです。人類の遺伝子の中に「蚊にさされると痒くなる」という情報を持った人間が、ある一定の割合で出生するように仕掛けてあったのですね。そういった仕掛けがされている人類は、蚊に刺されるとアレルギーを起こし痒くなり不快感を感じるようになり、やがて蚊に刺されないように工夫をするようになりました。蚊による伝染病にかかりにくくなった「蚊に刺されると痒い人類」は地球上で繁栄することになります。
一方で、蚊に刺されても痒くも何ともない種族は伝染病により絶滅することになるのです。「蚊に刺されて痒い人類」は選ばれ、「蚊に刺されて痒くない人類」は選ばれなかったわけです。私達が蚊に刺されて痒い人種なのは、そんな祖先の末裔だからなのです。遺伝子の多様性のおかげで今があるのです。ありがたや、ありがたや。
「蚊に刺されて痒い人類」の遺伝子と「蚊に刺されて痒くない人類」の遺伝子はある時代にプールされ、次世代の環境適応を待ちます。こういった作用を、遺伝子プールといいます。遺伝子は後世に自分の遺伝子をコピーして延々未来永劫に伝えるのですが、100%同じではなく、色々な多様性を持たせた上でコピーするのです。その結果、多少環境が変わっても、変わった環境で生きてゆくことができるようになるのです。