１２月８日、みずほ証券はジェイコムの新規公開株を１株６１万円で売るところ、６１万株を１円で売るという大失態をしでかしました。しかし売りに出した以上、買った人がいるわけで、５１万株をみずほ証券が買い戻したとはいえ残った１０万株は投資家が実際に買い注文を入れてそのままになっていることになります。株取引は４営業日目に決済をしなければならない事になっているので、この１０万株をどうするのか、１２月１３日の決済日、みずほ証券の対応が注目されているところです。
一体、６１万株を１円で売るというのはどういういうことなの？
６１万株をたったの１円で買った人がいるという意味ではありません。通常はストップ安という指標があり８日のストップ安は５７２千円なので、多くの人がこの価格で買ったことになります。そしてこの日の値動きの最高値がストップ高の７７２千円。ストップ安の５７２千円で買い、同じ日にストップ高で売った人は一日で一株あたり２０万円儲けた事になります。
買ってすぐに売った人は問題になりません。問題になるのは、買ってそのままにしている人が存在するということです。みずほ証券は１３日には買った人に株券を用意しなければなりません。しかしジェイコム株は全部合わせても１万４千株しか発行されていませんから、９万株も足りません。無いものを発行するわけにはいきませんからみずほ証券はお金を払って空売りしたジェイコム株を持っている投資家から買い戻すことになるでしょう。
その買戻し金額はストップ高の７７２千円になるのが妥当です。というのは、当日買ってすぐ売った人はこの価格で売れており、利益を生じているからです。そのまま持っている投資家がそれより安い価格で売ってくれるはずがありません。
ということでみずほ証券は残りの９万株を自らストップ高の価格で買い戻すはめになるでしょう。買い戻す９万株は一株に月２０万円の損失となりますから、ざっと見積もっても１８０億円。場合によっては１０００億円になるともいわれています。しかし通常の企業だったら存続さえ危ない金額となりますが、そこはみずほフィナンシャルグループのこと、丸く収めてしまうことと思います。
ところで今回の件は事故といえるものですから取引自体を「無し」にすることもありえます。しかしそれは買った投資家が納得しないでしょう。このジェイコム株、一体誰が買ったのか？というと、これがほとんど証券会社だったりします。ゴールドマンサックスや野村、日興コーディアル…こいつらが黙っているわけがありません。