韓国から輸入した氷酢酸を薄めずに飲んで胃炎を起こす事故が起こったようです。
「消費者庁は18日、兵庫県内の会社員5人が韓国で調味料として使われる氷酢酸を飲んで急性胃炎などの症状を訴え、うち2人が約2週間入院したと発表した。同庁は氷酢酸を直接飲まないよう、注意を呼びかけている。2009/11/19毎日新聞」
氷酢酸(ひょうさくさん)とは酢酸の濃度が98%以上のものをいいます。酢酸は融点が15℃と水よりも高いため、冬場には氷点下にならなくても15℃以下で氷のような固体になります。氷のようなので氷酢酸。
酢酸の化学式は(CH3COOH)。英語表記は「acetic acid」。読みはアセティックアシッド。繊維でアセテートというものがありますが、これは木材パルプ(セルロース)を原料に酢酸を反応させた合成繊維です。アセテートはタバコのフィルターに使われていますね。
通常手に入る濃度の酢酸は燃えることはありませんが、純度の高い氷酢酸は燃えます。また強い腐食性があるので一般家庭での取扱いは難しいです。国内で手に入れようと思ってもなかなか手に入りません。薬局で売っている酢酸も30%酢酸ですし食酢は5%前後ですから。
ところが韓国では「ビンチョサン」といい普通に売っているようです。食酢を飲むのが健康にいいと、日本でも酢は人気ですが、氷酢酸をそのまま飲んだらそりゃ胃炎になります。酢酸は通常の食酢にも入っていますがその濃度は3~5%。氷酢酸は98%以上の高濃度ですから薄めて使用するのが当たり前。
家庭で食用として使うには「食酢」と表示されているものを使うのが無難です。酢酸はアルカリ塩を溶かすので、アルカリに由来する汚れを落とすことができ、お掃除に使うこともできます。
ポットの洗浄にはよくクエン酸を使いますが、家庭用のお酢でも効果はあります。ポットの汚れは水に含まれるカルシウムなどが固着したものですから酸性の酢酸がこれを溶解します。