「被告人を懲役二年に処する。ただしこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する」
これはいわゆる有罪の言い渡しです。こういうことは一生縁がないと思いたいですが人生は複雑です。いつ何時罪を着せられるとも限りません。そんな時のために勉強しておくのも悪くはないでしょう。
執行猶予とは、裁判所が刑の言渡をする場合に、一定の条件の下に、一定期間(1年以上5年以下)、その刑の執行を猶予する制度です。つまり被告人を刑務所に入れておくよりは実社会で構成を期待した方がよいと判断された時に、刑を執行しないで見守ることをいいます。(刑法25条)。
猶予期間中に悪いことをせず、期間が無事完了すれば有罪の判決はなかったことになります。だから判決で執行猶予「ただし~以下」が付くと付かないとでは雲泥の差となるのです。
執行猶予が付くには条件があります。
1.以前に禁錮・懲役に処せられたことが無いこと
2.あるいは、処せられた事があってもその執行が終わってから5年以内に禁錮・懲役の罪に処せられたことが無いこと
3.現在執行猶予中で保護観察が付いていないこと
また、執行猶予というのはどんな刑にも付くのではなく、3年以下の禁錮・懲役、あるいは50万円以下の罰金のみに限ります。
では猶予中何をしてもいいのかというとそうばかりとはいえません。猶予中は保護観察が付く場合と付かない場合があります。保護観察が付くと引越しや一ヶ月以上の旅行なども事前に届ける必要があります。
実際の裁判で、重罪にもかかわらず執行猶予が付いたために、極悪人が社会で大手を振って歩くということもあります。問題といえることですが致し方ありません。町を歩く時は十分注意してください。電車に乗っても、隣に座っている人はもしかすると重罪人かもしれません。でも保護観察がついている場合は妙におとなしく、また人付き合いを嫌っているかもしれませんよ。
ちなみに私は「日本は既に治安の良い国ではない」と思っています。
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