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[1109]益虫と害虫

益虫は役に立つ虫をいいます。対する害虫は役に立たない虫あるいは悪さをする虫を指していいます。しかしそもそも虫に良いも悪いもありません。けなげに生きている虫を良いの悪いのという格付けするのは人間の都合です。益虫は人間にとって益であるから益虫といい、害虫は人間にとって害であるから害虫というのです。なんと勝手な人間でしょうか?

さて、益虫といわれるものをあげてみたいと思います。

まず日本の伝統文化の基礎となっている絹。絹は生糸を織って作りますが、この生糸を生産してくれるのが蚕(かいこ)です。蚕は桑を食べ、蛾になる前に蛹(さなぎ)になりますが、そのときに繭(まゆ)を作ります。この繭から生糸をとりそれをつむいで絹(シルク)になります。

テントウムシ。漢字変換すると「天道虫」となりますが正しくは「瓢虫」と書きます。テントウムシはナナホシテントウとニジュウヤホシテントウがいます。ナナホシテントウはアブラムシを捕食するので益虫となります。ニジュウヤホシテントウは作物の葉や茎を食い荒らしますので害虫となっております。

また蜂蜜を生産してくれるミツバチも益虫です。ミツバチは蜂蜜だけでなく、ローヤルゼリーやプロポリスも生産してくれます。また果樹園などでは果実を結実させるのに受粉が必要ですがその受粉を促す昆虫も益虫となります。ミツバチは受粉に活躍することでも知られています。

そのミツバチを捕食する、肉食のスズメバチは害虫です。スズメバチは時に人間も襲い、かつ毒も強いので怖れられています。しかし、このスズメバチは大きくパワーがあるので、その力の根源が研究され、かえって栄養ドリンクなどに利用されています。こうなると益虫でしょうか?

その他害虫を捕食あるいは産卵の対象にして死亡させるものを益虫とする場合があります。いわゆる天敵です。この天敵を農薬として定義付けたものが生物農薬です。農薬という名前ですがその実体は「虫」です。

生物農薬は今後注目される分野で、「生物」には「昆虫」のみならず「カビ」や「細菌」なども含まれます。益虫や害虫というとイメージ的に目に見える昆虫の範囲になりますが、実際はもっと奥深く研究されているのです。

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