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[884]マクロファージ

動物は、食べ物を食べたつもりが食べ物でなかったり、あるいはそれが毒だったりした場合は無意識に吐き出そうとします。同じように体内に入った異物は体外に排出しようとする機能があります。その機能の主役となるのがマクロファージという細胞。

この細胞の大きさは直径が十数マイクロメートル(ミクロン)。自分より小さなほこりのようなゴミの場合は、餅であんこをくるむように、細胞の中に取り込んでしまいます。それでこの細胞を大食(大喰=たいしょく)細胞と呼びます。

空気中にはチリやほこりがたくさん浮いており、私たちはたえず呼吸をするためそのチリやほこりを肺の中にたくさん吸い込んでいます。肺の中はゴミだらけ。マクロファージは、そんなわけで特に肺の中で活発に働いているのです。

マクロファージが活躍するのが、最近何かと話題のアスベスト(石綿)。このアスベストは繊維径0.0310マイクロメートルと大変小さく、しかしマクロファージはアそのスベストをたくさん食べて排出してくれます。

しかし職業でアスベストを吸ってしまっている人に対してはこの機能も残念ながら追いつきません。しかもアスベストは細かい繊維が針状になっており肺の細胞に突き刺さってしまうため、さすがのマクロファージも手間取ってしまうようなのです。

このマクロファージの役割は、年齢を重ねると弱ってきますし、吸った粉塵が段々蓄積されているような場合は、40年も経て健康被害が表面化することになります。世間を騒がせているアスベスト被害は、このようにちょっと体力が衰えてきた人に起こっているのです。

1μm(マイクロメートル) = 0.001 mm(ミリメートル)
※ミクロンという呼び方は現在はしない方向になっています。

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