【内定は労働契約の成立か?】
企業に内定し、3月からは研修も始まります。4月からは晴れて社会人。この就職難のご時世に何はともあれ社会人としてスタートを切る新卒者諸君にエールを送りましょう。
でも、もしかしたら内定は決まったのに、それを取り消されたりした学生さんもいるいのではないかと思います。悔しいですよね。今日は内定の法律的取り扱いはどうなっているのかをお話します。
【内定通知だけでは労働契約とはならない】
就職活動の一環で会社巡りをし、希望の会社から内定の通知をもらった。ほっとする瞬間です。しかし、ここで安心してはいけません。通知をもらっただけでは、採用予定ですから、まだ労働契約の成立とは言えません。通知は口頭のみならず文書でもらっても同じです。文書でもらったから確実というとそうではないのです。採用予定ですから決定ではありません。したがって取り消しは有り得ますし、その取り消しに対して労働法上対抗することはできません。(民法上は対抗できる)
【内定通知のほかに採用を決定する意思表示があれば労働契約成立となる】
これに対し、内定の通知をもらったあとに
1)必要書類の提出を求められた
2)入社日の通知を受けた
3)勤務場所の通知や研修の案内を受けた
4)その他採用が確定した旨の意思表示を文章で提示された
などの行為があったときは労働契約が締結されたものとみなされます。
労働契約が締結されたとすれば、その後の内定取り消しは「労働契約の解消」にあたり、労働法上の問題となります。つまりは労働者の「解雇」にあたりますから、その解雇が合理的と認められる正当な理由がなければ、解雇は無効となるのは言うまでもありません。
【入社前でも賃金は支払われる】
採用内定者全員を対象に、入社前の研修を強制的に行なう場合、研修時間について賃金を支払う必要がありますので雇用側はご注意ください。この場合、任意参加であっても、入社後に不参加者が不利益をこうむる事態(参加者と比べ配属や諸手当てなどに差がある)が生じる人事を行ったときは任意とはみなされません。