【退職金制度】
会社にとって退職金制度は必ずしも採用しなければならないものではありません。「当社には退職金はありません」でもいいわけです。つまり「任意」です。
しかし、退職金制度を一旦導入したなら、それは就業規則に記載し、その方法によって退職金を支払う必要があります。
これは労働基準法第89条に定める就業規則の記載事項のなかで「退職手当の定めをする場合においては」と前提し、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項を定めなければならないとしています。
また、退職金制度を導入する場合は、一定の「退職金の保全措置」を講じる必要があります。
「事業主は、労働契約又は労働協約、就業規則その他これらに準ずるものにおいて労働者に退職手当を支払うことを明らかにしたときは、当該退職手当の支払に充てるべき額として労働省令で定める額について、第3条の労働省令で定める措置に準ずる措置を講じるように努めなければならない」(賃金の支払の確保等に関する法律第5条)
具体的に保全の措置を講じることを要する額は原則として、労働者の全員が自己都合により退職するものとして仮定して計算した場合に退職手当として支払うべき金額の見積り額の4分の1に相当する額以上の額とされています。
一般的には、中小企業退職金共済法に基づく退職金共済契約(通称「中退金契約」)、適格退職年金契約、あるいは厚生年金基金に加入していると思いますので、特別に保全措置を講じる必要はないと思われます。