新年明けましておめでとうございます。本年も「知って得する労働法」をよろしくお願いします。
さて年頭ですので、今日は少し2003年の労働環境を展望したいと思います。
デフレの進行も止められず、景気も回復せず、野党も足並み揃わず、小泉内閣も切れ味の悪い昨今ですが、いよいよ来るべき時が来たという感じがするのが2003年。
今年の春闘はこの不景気を繁栄して、いよいよマイナス成長になりそうです。今までデフレデフレと騒ぎ、心の中では物価の下落をなんとなく得をしたような気分で喜んでいましたが、それは給料が今までどおりに支払われていたときの話。今年は確実に給料が下がります。財布の紐はますます固くなります。企業の利益は下がり、ますます給料は下がります。まさにデフレスパイラルに突入しようとしています。
こういう社会は前代未聞であり(少なくとも現代日本では)、根本的に考えを改めなければなりません。つまり今までのインフレベースの経済常識は通用しなくなったということです。インフレベースでは物価は緩やかに上昇し、給料も黙ってても上昇してきました。資産価値は黙ってていても上昇し、その結果企業も何もしなくてもプラス成長してきました。利益は向こうからやって来たのです。
ところがそのインフレベースで成長してきた企業はデフレでは生き残れません。生き残るには仕組みを変えなければなりません。本当に価値のあるものを生産し、その生産によって着実に利益を生み出す必要があります。利益の運用は慎重にしなければなりません。まず銀行を信用してはいけません。デフレでは現金を銀行に預けると目減りする可能性が高くなります。ましてや株や社債はもっと危ない。一年で半分以下になる可能性が十分あります。笑い話ではなくタンス貯金が一番確実です。
労働組合も実質無力化するでしょう。会社あっての労働組合であり、利益あっての春闘だからです。会社の存続も危うい昨今、労働基準法の遵守も難しくなるでしょう。基準法は解雇には厳しく対処してきましたが、今ではどんな理由も実質解雇理由になってしまいます。基準法もあてにはなりません。
では労働者としてはどうしたらよいか?それは自分の価値を高めることに尽きます。この時代に生き抜くためには社会に必要とされることです。会社も利益を生んでくれる人材は歓迎します。そういう人は救世主に値します。
一方会社の金を食いつぶしている無能な社員は即効で解雇されるでしょう。そうならないように日ごろの精進が大事なわけですが、会社をクビになりそうな管理職は多いです。今頃あわててますね。
ここ5年以内に定年退職した人は一番ラッキーです。退職金を手にし、今は年金で暮らしているはずです。これからは退職金もあてになりません。現在会社勤めをしている人は退職金をもらえないと思ったほうが正しいです。老後の資金も自分で拠出する計画が必要です。年金も危ないし、健康保険も危うい。ほんと大変な世の中になったものです。