■読者からの質問
はじめまして、競業避止義務についての質問です。
私は、1年契約の契約満了でもうすぐある会社を退職するのですが、その退職の際に「同業他社に退職日から6ヶ月間は就職しない」という競業避止の誓約書を書かされる予定になっています。
しかし、拘束に対して何の代償もない一方的に誓約するのはおかしいと思い、競業避止の誓約書自体に署名・捺印を拒否しようと考えているのですが、これは可能なのでしょうか?
なお、1年毎の契約書の条項にも同内容の競業避止義務条項が書かれています。
■たまごやの回答
『競業避止義務』
お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。
お尋ねの件ですが「競業避止義務」に値する「特別な仕事」に今まで携わってきたかがポイントです。具体的には・・
・会社の存続に関わる特別なプロジェクトに参加していた
・特別な開発社員として別途報酬を得ていた
・会社役員であった
などです。これらに当たらない場合はたとえ競業避止契約書に署名捺印していても「そもそも競業避止に値する仕事をしていなかった」とみなされ、無効となります。
なお、注意すべきは競業避止契約よりも
・顧客を大量に奪った
・従業員を大がかりに引き抜いた
・全く同じプロジェクトを持ち出して他社で実現し、多大な損害を与えた
というような背任行為は、不法行為として損害賠償責任を負わされる場合もあるので注意します。不法行為による訴えは競業避止契約の有無に関わらず可能です。
単に「同業他社に退職日から6ヶ月間は就職しない」という競業避止誓約書は何の意味もなさないと思いますし、そんな契約書には署名捺印をしないのが一番ですが、なにかと摩擦の原因にもなりますので、とりあえず署名捺印はしておいたほうが無難でしょう。それを元にあとで訴えを起こされたとしても、上記理由により対抗できます。
参考コラム:
競業避止義務
競業避止義務に対抗する
2004/09/21(原文)
2006/06/27(加筆修正)