会社で行なう健康診断は労働力の管理の一環であり、正常な経営活動を行なううえでのリスク管理といえます。
会社は従業員を雇入れる時と、その後1年以内ごとに1回、定期的に一般の健康診断を実施しなければならないことになっています。(労働安全衛生法第66条、労働安全衛生規則第43条ほか)
◇雇入時健康診断【労働安全衛生規則第43条】
常時使用する労働者(パートタイムの場合は1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上あり、雇用期間の定めのない者か、契約の更新により1年以上雇用される予定の者などを含む)を雇い入れる直前又は直後に実施するもの。
ただしその従業員が医師による健康診断を受けた後3ヵ月を経過しない場合に、健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する内容については実施する必要はありません。
◇定期健康診断【労働安全衛生規則第44条】
常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期的に医師による健康診断を実施することが義務付けられています。
さらに特定業務従事者健康診断【労働安全衛生規則第45条第1項】については特定業務(坑内労働・深夜業等の有害業務)に常時従事する労働者に対して、6ヵ月以内ごとに1回、定期的に医師による健康診断を実施するものとしています。
なお、事業主は、一般健康診断および特殊健康診断を実施した際に、その結果を従業員に通知する義務があります。結果が思わしくない場合などは、医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは労働者に対して就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮等の措置を講じなければならないことになっています。
会社は従業員の健康康診断個人票を5年間保存し、これに基づいて従業員の健康管理や適切な配置転換などの措置を講じなければならないものとされています。
ただし、この個人票は従業員といえども個人情報に該当するため、その情報の取り扱いは慎重にし外部に漏れないようにしなければなりません。
なお、会社で行なう健康診断については法律で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然事業者がその費用を負担すべきであるとしています。したがって、事業主は雇入れ時および定期に実施する健康診断の費用を原則として負担することが必要です。ただし、会社が実施する健康診断を本人の都合で受診しない場合には、従業員が各自で受けることも認められていますが、その場合の費用については、本人負担としてもよいとされます。
会社は従業員を雇い入れたなら、必ず定期健診はしなくてはいけません。もしそういった検診を行なっていない場合には、検診をするように会社に申し入れましょう。
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