■読者からの質問
中小企業に勤めているわたしの夫は、最近、遠方の現場で数日間作業する出張が増えてきました。この出張がいつも、朝から深夜までほとんど休憩もとれずに働き続けるきつい現場なのですが、会社からの支給は、宿泊費+交通費+出張日当金(2,000円/1日)だけです。たとえ深夜までの業務でも規定上、1日2000円の支払いになります。
現場仕事の出張で8時間以上働いた場合、法的に残業は認められないのでしょうか。出張だと朝から深夜までの労働は違法にならないのでしょうか。また、規定を変えてもらうためにはどう攻略したらよいでしょうか。ぜひ、アドバイスをお願いいたします。
加えて、上記のこととは無関係なのですが、この規定には『年次有給休暇は前年度分を繰り越すことはできない。』とあります。これは違法にならないのでしょうか。
■たまごやの回答
お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。
『出張先での残業代がまともに支払われない』
通常の職場では、残業については割増賃金が支払われるけれど、出張の場合は8時間以上働いても、出張手当だけしか支払われないというケースです。
労働基準法では、通常の職場でも出張先でも、その場所にかかわらず8時間以上働いた場合はそれに対応する賃金および割り増し賃金を支払うよう規定しています。
従いまして、本件のケースの場合でも当然ながら、残業代は支払われなければばならないでしょう。
この場合の問題点は、出張手当が残業代に匹敵するかどうかです。出張手当が残業代匹敵するのであれば、特に問題はありません。労働基準法は時間給で支払わなければならないと言及はしておらず、対応する手当てがあるのならばそれでも良いとしています。
出張手当2000円が、残業代(8時間超過分の通常の賃金+割増賃金)に値するのであれば違法とはなりませんが、それを大幅に超える労働時間があるのであれば、違法となる可能性があります。
もし、出張手当が実働に見合わない場合は、実働時間を記録したメモなど客観的証拠をもって、使用者に掛け合ってみてはいかがでしょう?それでも埒が明かない場合は労働基準局にお尋ねください。出張規定がどうであれ、残業代に見合わない場合は、是正勧告されると思います。
なお、年休の請求権は2年までなので実質繰越は前年分まで繰り越すことができます。1年分が20日とすれば、2年分で40日。使っていなければまるまる40日年休はあります。それを使わないで次年度に入った場合は、前々年の20日分が消滅し、繰り越すのは20日と当年分の20日合わせて40日となります。
労働基準法115条
賃金、補償、「その他の請求権は2年間」行わない場合は時効により消滅すると規定されています。
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