田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長の発表した論文が政府の見解と異なると、物議を醸しています。結果、田母神氏は更迭。防衛省としては免職(解雇)したいところですが、手続きに時間がかかるため退職扱いにしたとのこと。そして退職の際に支払われる退職金は自主返納を希望しているとのこと。
今回は、この田母神氏の退職について、考察したいと思います。
まず、政府見解との相違ですが、個人の主張としては、いろいろな意見を持ち、それを公表する権利が、憲法で保障されています。「憲法第21条の表現の自由」。したがって、田母神氏が個人的にどのような考えを持とうと自由です。
しかし、国家の組織である自衛隊の航空幕僚長という役職について、政府見解と異なる論文を発表することは、役職に対して不適切であるという判断の元、解任は当然のことになります。
この場合「役職」の「解任」です。
しかし、政府のとった処遇は、退職勧告しかも免職(解雇)に近いものです。これは、思想の自由、言論の自由を掲げた憲法違反であることは明らかです。処遇としては、降格、役なし、が適当です。免職(解雇)はNGです。田母神氏は、彼の言うとおり、退職金を自主返納する必要はないでしょう。
ただし、田母神氏はすでに定年を過ぎており、役職を解任すれば、自動的に定年が適用になる地位まで下がるため「退職」となったようですが。
今回の事件が正当化されれば、危険な思想を持った自衛官は免職もしくは退職勧告されることになってしまいます。自衛隊の組織を疑問に思っている血気盛んな現役自衛官はショックだったでしょうね。まさに恐怖政治ともいえるものですから。
終戦時の東京裁判や歴史認識については、ここでは述べませんが、田母神氏が告発する背景にある自衛隊という組織自体がすでに腐っているのかもしれません。一般人になれば言いたいことを言えるようになりますので、今後の田母神氏の活躍に期待したいと思います。
さて、幕僚長の後任には外薗(ほかぞの)健一朗・防衛省情報本部長を充てる人事を決定したようですが、仮に彼が同様の思想を持っていたとしてもそれは雇用に対してなんら影響はしないということです。解任と免職(解雇)は似て非なるもの。別個に考える必要があります。
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