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[232]読者Q&A『夏期休暇に未消化年休を充てられた』

■読者からの質問

私の勤めている会社は、年休については法律で定められた日数分与えられています。就業規則では、夏期休暇が定められていないにもかかわらず、会社がその年ごとに夏期休暇を決め会社を休みにしています。

しかし、その休みを年休から差し引いているのです。確かに、「会社が定めた日を休みとする」と就業規則に記載されていますが(私が入社後、勝手に年休を当てると書き足されたのですが)、社員が自由に使えない有給休暇があるのは、法律的に認められるのでしょうか?教えてください。

■たまごやの回答

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

『夏期休暇に未消化年休を充てられた』

これは「年次有給休暇」についての計画付与の問題です。結論からいいますと会社のやり方は「合法」です。

労働基準法第39条第5項において、使用者は労働者に対し計画的に年休を消化することができるとしています。

使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項から第三項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち五日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。「労基法第39条(5)」

年次有給休暇は労働者が自由にその時季を指定して休みをとることができる制度です。しかし日本の場合、年休消化率は非常に悪いため、使用者のほうで計画的に付与することが可能となっています。つまり自分の意図しない日も年休に充てられます。

ただし、年休の計画的付与には要件があります。

1.労使協定により有給休暇を与える時季に関する定めをする
2.各労働者の持つ休暇日数のうち5日を超える分のみが適用

1については労使協定にもよりますが就業規則に記載が必要です。

2についてはたとえば年休未消化分が20日あった場合、このうち5日を超える部分である15日は、労使協定の定めにより計画的に付与することができます。残りの5日については使用者の自由にはならず労働者が自由に時季を指定できます。労基法第39条第5項はこのことをいっているのです。

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