【整理解雇】は使用者の都合によって経営の改善を目的として行なう場合が多い解雇です。
使用者側からの一方的な解雇は労働者の生活にかかわる問題となるため、法律で大きく制限されています。
民法では第一条で信義則や権利濫用の視点からこれを制限し、また無謀な解雇は同90条の公序良俗の観点からこれを制限しています。労働基準法でも労働者に対して不利益になるような取扱を禁止していますが、これは解雇にも当てはまります。
通常は以下の要件を満たさないと解雇は認められませんが、この要件を満たす事は過去の判例から非常に難しく、大抵のことでは解雇はできないと思ったほうが間違いありません。
1.解雇の必要性が本当にあるのか?
2.解雇回避のための努力を尽くしたか?
3.人選に感情が入っていないか?
4.説明・協議、納得を得るための十分な手順を踏んだか?
【就業規則、労働協約の有無】
就業規則や労働協約が無い場合は、やむをえない事由により解雇は有効です。しかし、就業規則や労働協約がある場合はそこに解雇についての規定があるはずですからそれに照らし合せ、定めにあたるかどうかを見ないと解雇できません。
いずれにせよ、解雇は30日前の解雇予告または30日分以上の解雇手当が必要です。
【懲戒解雇】
労働者の重大な過失もしくは故意に行なわれた違反に対しての制裁的解雇を言います。これは労働者の生活のみならず名誉にかかわる問題ですから、取扱いには十分注意します。懲戒解雇は、本人の改悛の見こみが無い場合のみ適用できると思って間違い無いです。
懲戒解雇は通常解雇予告は行なわず即時解雇となり、解雇手当も支払わないのが普通ですが、支払わなくて良いものではなく支払ってもかまいません。また、退職金についても支払わないのが普通とされていますが、就業規則や労働協約にその旨の定めが無い時は、使用者は退職金を支払う義務が生じます。