日経新聞(2005/10/2.38面)によれば、企業の半数が副業禁止を謳っておりその傾向は1995年より増加しているということです。
これは当然と言えば当然のことなのです。世の中では「副業ができる人」こそ能力のある「できる人」であり、企業にとっては「稼いでくれる人」なのです。こういう「できる人」には副業を禁止し、転職も禁止し、わが社で頑張ってもらわなければならない、と思うのが経営者。経営者とは自分の会社の利益ことしか考えない生き物です。そしてそれもまた正解です。
副業禁止の理由として「社員の副業にメリットを感じない」が78.5%、「疲労による業務効率の低下」(90.5%)、「残業や休日出勤を命じられない」(49.7%)、「情報漏えいが心配」(34.9%)とのこと。こういった理由もじつに経営者の思い込みのように感じます。
残業もさせず昇給も無く賃金が抑制され、また終身雇用が崩壊する中、副業で収入不足を補ったり、将来の生活設計をするのはいまや公然のこととなっています。インターネットの普及により、職場の組織に参加しなくても、個人で活躍できる場がどんどん増えています。いまどきの主婦はアフィリエイトで月5万くらい稼ぐのはわけないことなのです。おそらく副業禁止を謳歌する老齢な経営者は、そういった話は聞いていても実感として沸かないのでしょう。なんだか知らない間に社会が動いていることの恐怖も背景にあるのでしょう。
雇用は不安定、賃下げ、そして公的年金への不安。家計をめぐる状況は逼迫するばかりです。20年後30年後の生活を会社は保証してくれるのでしょうか?答えは否です。自分の老後は自分で何とかしますよ。副業禁止は大迷惑なのです。「副業を禁止されて困る人」は「できる人」の証です。さっさと会社など辞めてしまって独立自営の道を歩みましょう。社会全体が「収入源の複数化」へ向けて動き出しているのです。
厚生労働省は2007年通常国会である法案提出を予定しているといいます。それは労働契約法。この法の中では「副業の禁止規定を原則無効とする」方針が盛り込まれています。政府は副業を奨励する姿勢です。企業の副業禁止規定は時代に逆行する動きです。企業は副業を禁止するのではなく、副業よりも魅力的な本業を労働者に与える努力を惜しんではなりません。「できる人」にそっぽを向かれる前にやるべきことはあるはずです。
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