熱帯魚の世界は「グッピーに始まりグッピーに終わる」といわれます。つまりグッピーは簡単に飼える入門魚であり、また専門家でも極めきれない奥深い熱帯魚ということができ、まさに熱帯魚の代名詞といえるものです。
グッピーの原産は南米の小アルチン諸島だといわれ、19世紀に冒険家によってヨーロッパにもたらされました。もちろん珍しい魚ですから王侯貴族の間ではブームになりましたが、一般庶民が手の届くものではありませんでした。日本に入ってきたのは大正時代の終わり頃。もちろん一般庶民が飼育して鑑賞できるはずも無い高級なものです。
そんな高級魚も昭和30年頃になると、飼育機材の発達が繁殖を容易にし、輸入によって更に値段が下がってきました。今ではペアで300円も出せば誰でも飼うことができます。
グッピーの寿命は約一年。寿命が短い分どんどん増えます。グッピーはめだかの仲間ですが、日本に昔から居るメダカは卵で増える卵生ですが、グッピーは卵胎生です。メスのお腹に卵があり、それが孵ってからお腹から出てきます。したがって生まれてきた稚魚が隠れるところがあればどんどん増えます。
また、グッピーは熱帯魚ですから水温は25℃くらいを好みますが、15℃から35℃位の許容範囲が広く、管理にあまり気にしなくてもよく育ちます。そして何より魅力なのが、自分の好みに合った模様や色、形のグッピーを短期間で作り出せるという点が、熱帯魚の最終関門と言わしめる所以であります。もっとも短期間といってもそれを固定するには5年から8年はかかるのですが。しかし、新種ができたときの喜びは何物にも変えがたい。そんなところがグッピーの大きな楽しみであるわけです。
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