人類が生んだ一番危険な物質とされるのがダイオキシンです。ダイオキシンと一口に言ってもこれは化合物であるため色々似たような仲間がいます。全部あわせると200種類以上あります。なかでも最強の毒性を誇るのが「2,3,7,8-TeCDD」といわれるダイオキシン。社会問題となっているのもこの「2,3,7,8-TeCDD」。
ダイオキシンは、もともと自然界には無い物質で、人間が作り出したものです。しかし作ろうとしてできた物質ではなく、知らずに作ってしまったのです。ゴミを燃やしたときに自然にできてしまったというわけ。
ダイオキシンのほとんどがゴミ焼却場で生成されます。塩素化合物を燃やすことでダイオキシンは発生します。ビニールやポリ袋、プラスチックトレー、ラップなどが主な発生源です。また最近では食塩も発生源となることが確認されました。食塩そのままでは発生源になりませんが、料理に使って生ゴミとなったときに発生源となります。
ゴミを焼却する時、不完全燃焼したり燃やす温度が低かったりするとダイオキシンが大量にできやすい。そのため廃棄物処理法では800度以上で燃やすように規程しています。もっと高い温度1300度でも燃やせばダイオキシンは発生しません。そして最近の焼却場はこの高い温度で焼却し、ダイオキシンを発生しなくなっています。
ダイオキシンはゴミを焼却した際の煙や灰などに含まれますが、ゴミ焼却場での問題はこの灰です。灰は埋め立てに使われるので、その埋立地が極端に汚染されていることが判明しました。一度埋めた土地を掘り返し、浄化作業をしなければなりません。大変な労力です。
ダイオキシンは無色透明の物質で、熱に強く、酸などの物質とも反応しない安定した物質です。水には溶けにくいけれど、油や脂肪などにはよく溶けます。したがって肉や魚の脂肪に蓄積されやすいのです。しかしダイオキシンは太陽の紫外線やアルカリには弱く、よく分解されるといわれます。このあたり対策の鍵となる部分なので今後の研究が待たれます。
ちなみにダイオキシンの毒性の強さですがサリンや青酸カリよりも強いことがわかっています。しかしボツリヌス菌や破傷風菌の毒素にはかないません。上には上がいます。
さて、ダイオキシンをなくすためにはどうするか、それにはゴミを減らすしかないのです。一人一人がゴミを減らし、リサイクルを行なって環境問題に取り組むことが最重要です。