もともと魚は海水の中で発生したと考えられます。その後、淡水の川や湖に進出し、やがて陸に上がっていったようです。魚は今でも海水魚と淡水魚ではその体の仕組みは違いますし、淡水魚であっても肺で呼吸する魚もいたりします。進化の経過を垣間見るようで面白いですね。
さて、海水魚は海水に棲み、また淡水魚は淡水に棲んでいるのでそれらが同時に泳ぐことはできません。海水魚を淡水に入れれば死んでしまいますし、その逆も同じです。しかしこれを1%の塩水に泳がせると海水魚も淡水魚も同居することができます。これは海水魚、淡水魚それぞれの体の仕組みの丁度境となる塩分濃度だからです。
淡水魚ももともとは海水魚から進化したので、体の中に含まれる塩分濃度は海水魚とほぼ同じです。この濃度は約1%。海水よりも薄く淡水よりも濃くなっています。この魚が淡水で暮らす場合は、浸透圧の関係で常に体内に水を吸い込んでしまい水ぶくれになる危険をはらんでいます。
逆に海水魚の場合。塩分濃度が海水の方が約3%と大きいので常に脱水症状になる危険をはらんでいます。そのため海水魚は、水をたくさん取り込んで、あまり尿をしないようにしています。淡水魚と海水魚が同じ魚でありながら、海水と淡水に住み分けられるのは、このように全く違った体の仕組みを持っているからです。
なかにはウナギやボラ、サケ、スズキなど海と川の両方を行き来できる魚は、この両方の機能を持っていてそれを使い分け体液の浸透圧調節をしています。しかし多くの魚は、このどちらかの仕組みしか持たないため、海水魚は淡水に、淡水魚は海水には棲めないのです。