松脂は松の木から分泌される天然の樹脂です。プラスチックでできた製品を樹脂製品などといいますが、プラスチックは合成樹脂ですから「合成樹脂製品」というのが正しい。樹脂製品というならば天然樹脂を使っていなければなりませんね。
さて、松脂。松は特に樹脂が多い木で、その樹脂を使って人類は色々なことに利用してきました。松脂には揮発性の物質テレピン油が多く含まれるため、蒸留してそれを取り出します。テレピン油は塗料やワニスの溶剤として使われ、また絵画をやる人にとっては油絵具の溶剤として欠かせないものです。
野球のピッチャーマウンドに転がっている滑り止めのロージンバッグ。これも松脂でできています。また独特の香りがあるため、生薬や香料にも使われています。バイオリンの弓も松脂を使うことで摩擦が大きくなるため大きな音を出せます。シャボン玉に松脂を使うと割れない大きなシャボン玉ができます。松脂をお酒にしたものもあります。
最近健康に良いとされるピクノジェノールはポリフェノールの一種ですが、これはフランス海岸松から採れる樹脂を原料としています。松脂はもともとは自分を食いに来る昆虫を避ける目的で分泌されるもの。一種の防御物質なのです。
松脂は揮発成分が飛ぶとプラスチックのように固まりますが、それは長年かかってできたものが琥珀です。松脂に捕らわれた昆虫がそのまま固まることが多くあり、琥珀の中に昆虫がいるものも多く発見されています。そう、琥珀のもとは松脂だったのです!
ところで、最近はやりのログハウス。キットも多く出回っており、構造が簡単なこともあってセルフビルドを楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。このログハウスですが、原料の北欧松はやはり松脂が多く出る樹木です。天井からぽたりと松脂がたれて来ることもあり、これがなかなかの厄介者。
松脂は水には溶けないので水で洗うことはできませんし石鹸も効きません。そんなときはアルコールや酢酸、エーテルなどを使いましょう。松脂はこれらの溶剤には溶けるので、これでふき取ることができます。ただし、松脂の発生場所である脂壷は場所が決まっているので、継続的に滴ることが常です。これもログハウスの趣として、容赦するしかないようです。
【関連記事】
[1089]パイン
[253]ログハウス