地球には運よく大気という濃密な気体の層があります。この大気があるおかげで私たちは生きることができます。しかしその大気も地球の表面から高度を上げるにつれ薄くなり、しまいには大気がなくなります。
大気のある層を大気圏といいます。この大気圏はどれくらいの厚みがあるかというと約1000km。これ以上がいってみれば「宇宙」なのですが、実際には高度80km-120kmあたりから宇宙空間と呼んでいます。
しかし高度1000kmといわれてもピンときませんね。
そこで例を示しましょう。
2009年12月20日にソユーズTMA-17に搭乗し、現在は国際宇宙ステーションで約5ヶ月間の滞在を行っている野口聡一さん。滞在している宇宙ステーション(ISS)は最低高度278km、最高高度460 kmの軌道を回っています。
BS放送やCS放送はアンテナを静止衛星の方角に向けてセットします。これはこの方向に電波を発信する衛星がいるから。静止衛星は赤道上の高度約35786kmの円軌道にあり、地球と同じ方向に同じ速度で回っています。だから見かけ上は静止しているようになるのです。
カーナビの位置情報をセットしてくれるGPS衛星も静止衛星の一つ。これは20200kmの軌道上にあります。宇宙ステーションに比べるとかなり上空にある衛星です。上空にある衛星ほど大気の影響を受けないので、速度は速く、また落ちにくくなります。
海外に行くときに旅客機に乗りますね。そのときの高度は約11km(11000m)あたり。このあたりは対流圏(0km-11km)と成層圏(11km-50km)の境目にあたり、大気の状態が非常に安定しているため多くの航路に使われる高度になっています。いまは飛んでいませんが、世界最速の旅客機コンコルドは高度18000mを飛んでいました。窓から見る空は昼なのに宇宙空間のように濃いブルーだったそうです。
以前世界の世論をよそに北朝鮮がテポドンを打ち上げました。この大陸間弾道ミサイルは高度1000kmまで打ち上げます。人工衛星を打ち上げるときもこの高度なので、核ミサイルも「人工衛星である」と偽装ができるのです。
《大気の高度と温度》
・対流圏(高度0km-11km)
地上(0km)を20℃とすれば高度11kmあたりは-40℃くらい。上昇するにつれ温度は低下します。
・成層圏(高度11km-50km)
高度11kmでは-40℃。高度50kmでは-15℃くらいです。この圏内は上昇するにつれ温度は上昇するのが特徴。
・中間圏(高度50km-80km)
高度50km位のところは-15℃。80kmくらいでは-90℃になります。上昇するにつれ温度は低下するのがこの圏内。
・熱圏(高度80km-800km)
上昇するにつれ温度は上昇します。エネルギーとしては2000℃位あります。ただし空気は薄いので、気温計で測ると0℃前後とのこと。
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