ピエロとは道化師と同じような意味にとられていますが、本来道化師のことはクラウンといいます。スペルはCLOWN。王冠のクラウン(CROWN)とは違います。ピエロはそのクラウンの一つである「悲しみを表現した道化師」のことをいいます。
クラウンという道化師の名が登場したのは18世紀といわれています。イギリスのサーカスの中で「おどけ役」を演じていた役者が自らのことを「クラウン」と名乗ったのが始まりだとされています。意味は田舎もの、のろま、ばか、おどけ者、おどける、ふざけるなどの言葉のようです。
1770年ころのイギリスではサーカスの前身ともいえる円形の劇場での乗馬を基本とした曲馬ショーに庶民の人気が集まっていました。劇場では曲馬だけでなく、アクロバットや綱渡りを織り込んだ、総合的なエンターテイメントに発展し近代サーカスの発祥となったのです。
サーカスでの一つ一つの演技は大きく進化していきましたが、開催者側での悩みの種はその芸をどう繋いでいくかということにありました。そこで登場したのが道化師です。豪快で圧巻な曲馬ショーのあとに道化役者を雇い、下手な曲乗りのパロディを演じさせたのです。笑いと馬鹿な演技は大喝采。以来クラウンはサーカスに定着し、なくてはならない存在となりました。
クラウンの中でも「ピエロ」はフランスの喜劇芝居の中には必ず登場した「おどけ役」のうちのひとつで、「馬鹿にされるひと」といわれるものです。イタリアに近い地方ではアルルカン、トレッキーなどいう名でも呼ばれていたようです。
ピエロは「馬鹿にされる」のが仕事ですから喜んで馬鹿にされます。しかしそんな彼もやっぱり人に愛されたい。そんな悲しみを表したのが顔に描かれた一粒の「涙」です。涙が描かれた道化師はピエロ。彼を見かけたらちょっと声をかけてあげてください。きっと喜んであなたの心を癒してくれることでしょう。
夜空を舞うクラウンたち
http://www.tamagoya.ne.jp/potechi/20031103.htm