栄養価が高くおいしいフルーツの代名詞のバナナ。最近では抗がん作用があるとかで注目されていますね。しかしバナナは果実なのにどうしてタネがないのでしょうか?
じつは野生のバナナにはちゃんと種があるのです。スーパーなどで売られているバナナを輪切りにすると中心部黒い点々がありますが、これが種の痕跡です。今私達が食べる食用バナナは紀元前5千年位前に遺伝子の突然変異により種の無いバナナが生まれたとされ、それを固定したものが現在の食用バナナなのです。
では種の無いバナナはどうやって増やすのか?
バナナは多年生の植物なので、毎年実を実らせます。したがってタネはそんなに必要は無いのですが、それでもそれを商売とするならば株を増やす必要があります。バナナには種が無いので株分けで増やします。
バナナには吸芽という新芽が脇から出てきます。この吸芽を植え付けて増やします。吸芽は1m丈くらいに育ったものを植える方が一般的のようです。日本ではあまり見ませんが、食用としてタネのあるバナナもザンジバルなどバナナの産地では栽培されています。
バナナには遺伝子的に2倍体のものと3倍体の物があり、割り切れる2倍体のものはタネができます。3倍体のバナナは割り切れないため正常な減数分裂が起こらず種ができないのです。
なお現地ではバナナは加熱されて色々な料理に利用されています。日本ではフルーツとして生で食べるだけですが、これではもったいないといえるかもしれません。
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[464]夏バテにバナナ
(2006.02.17追記)
バナナについて読者のK様より情報をいただきました。
毎回、面白い知識を楽しみに読ませてもらっています。バナナについてのトピックですが、疑問がありましたので、メールいたします。現在私はタンザニアに住んでおりまして、バナナは身近な存在です。
バナナは多年草かということですが、同じ株に2度は実らないと聞いております。株はどんどん増えて株の集団を作りますから、同じ株に何度も実るように見えるのですけど。
バナナの種類ですが、タンザニアには2百種類以上のバナナが育てられていると聞きます。友人がバナナの現地調査をしておりますので、これは確かな情報です。その中には、フルーツとして食べるもの、調理して食べるもの、お酒(オルビシ)を作るものがあります。調理用バナナの中にも、焼いて食べるのに
適したものと、煮て食べるのに適したものがあります。バナナを主食にする主要地域としてタンザニアのビクトリア湖畔のカゲラ州があります。
バナナには、フルーツ、調理、お酒があると書きましたが、そのほかに、観賞用があります。観賞用のバナナは果肉部分がほとんどなく、ほとんどが種です。種はビワの種に色と形が似ています。それと、株は木の集まりですから、バナナの木には一度しか実らないと言うのが正しかったかもしれません。