人間の体は塩分によって電気信号が流れ、その電気信号によって細胞や神経が働くから生命を維持することができるのです。したがって塩はもっとも大事な食べ物なのです。しかし、海に豊富な塩も塩田などで手を加えて生成しないと手に入れることはできませんでした。塩はお金にも換えがたい非常に貴重なものだったのです。給料を意味する「salary」と言う言葉の語源は「salt」。つまり塩が給料だった時代もあったのですね。
塩は海から取れるのはわかりますが、世の中には岩塩というものもあります。その昔、アレキサンダー大王が東方遠征の際、大王の乗っていた馬が立ち止まって、道端に露出した岩塩を舐めた事から、岩塩の存在が知られるようになったと言われています。有名な岩塩の産地はヒマラヤの山奥にあります。
ヒマラヤがまだ山奥ではなく平地だった頃、そのヒマラヤの岩塩の元も海でした。やがてカスピ海のように塩水湖になり、塩水湖が地殻変動で押し上げられ乾燥して分厚い塩の層になり、それが山の中に閉じ込められて岩塩層になったのが5000万年前から10万年前までといわれています。その岩塩の元となった塩水はそれよりも遥か3億8千万年前の海水といわれ、まさに岩塩は当時の海水の化石といえるものなのです。
ところで、海水から塩を生成するときに採れる「にがり成分」というのがあります。多量のミネラルを含んでいるため、少量摂取する場合は有効ですが「にがり」は多く摂りすぎると害になります。哺乳類はこの「にがり」から逃れるために陸に上がってきたといわれるくらいですから。
海水由来の塩は、このように「にがり成分」を含んでいますが、岩塩には「にがり成分」が少ないのが特徴です。これは「にがり成分」は容易に水に溶けるため、長い年月によって洗い流されたからです。「にがり成分」の少ない岩塩が健康に良いともてはやされるのはこういった理由からなのです。
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