民主党の政権交代の陰に隠れてしまった感はありますが、2009年の国際的に重要なニュースにEU大統領の誕生があります。成熟した西欧や北欧に加え、新進の東欧が加わり、欧州連合(EU)は大きな連邦を目指していますが、その代表がEU大統領です。
「連邦」といえばそれぞれ国があるとはいえ、集合した一国家として機能するのが目的。アメリカが独立した州が「連邦」して「合衆国」というように、EUもいまやいってみれば合衆国といえなくもありません。その大統領ということはブッシュ大統領やオバマ大統領と同じ位置を目指すということ。EU大統領の誕生とはそういう意味だということです。記念すべき第一歩といえましょう。
初代大統領(任期2年半)はベルギーのファン・ロンパウ首相が選ばれました。「外相(任期5年)」には英国のキャサリン・アシュトン欧州委員が指名されました。これはなかなか微妙かつうまい人選です。
というのも、イギリスは欧州でありながら、通貨は自国のポンドを使用しています。EUといえばユーロを使うのが当たり前。しかしイギリスはそれに反発しているのです。自国が一番と思っているその背景は、大統領選出にも現れていました。
一時はブレア前英首相を大統領に推す動きもありましたが、イラク戦争に賛同した経緯がありドイツやフランスなどの大国の支持を得られなかったのです。しかし、英国の影響力は大きいので無碍にもできない。そこで外相にイギリスのアシュトン氏が選らばれるいきさつとなったようです。
EU大統領はEUの規範となる「リスボン条約」の発効(2009年12月1日)に伴って新設される最高位のポストです。27ケ国の加盟によるEU諸国、人口約5億人を擁する連邦共同体となりました。これで、アメリカ合衆国、ロシア、中国に対等に張り合うことができます。激化する国際情勢。その激流のなかで弱小日本は、果たして埋もれず溺れずにがんばっていけるのでしょうか?