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[1065]超臨界水

前にフリーズドライの話をしました。気圧を下げていくと水は100℃でなくても沸騰するという話です。どんどん気圧を下げて真空状態になると、氷の状態からいきなり沸騰して蒸発します。この作用を利用して、液体のコーヒーを凍らせて真空状態で瞬時に乾燥させるのがフリーズドライ製法のインスタントコーヒー。

では逆に、気圧を上げていったらどうなるでしょうか?

水は100℃になっても沸騰せず、液体のままです。100℃以上になった水は液体のままなので硬い豆でも火が通ります。圧力鍋の原理ですね。これをさらにどんどん気圧を上げていくと300℃の水というようなものも可能となります。

水の温度と気圧を上昇していくと、ある点で液体と気体の境界線が無くなります。この点を臨界点といい、水の臨界温度は374℃、臨界圧力は220気圧となっています。この状態では、水は液体と気体の区別がつかないような状態になっているということです。

この状態がではいったい何の役に立つのかというとこれがすごいんです。

臨界点付近では温度を一定にしておいて、圧力を変化させるだけで、水になったり気体になったりします。この性質を生かせば各種物質の入り混ざった状態の液体から、水だけを気体に変えれば、残された物質が高純度で残ることになります。

コーヒーでいえば、コーヒーの中に含まれるカフェインという物質だけを瞬時に抽出することができます。カフェインレスコーヒーはこのようにして作られます。

通常ではこのような抽出には有機溶媒を使います。溶媒は毒性があったり、残留濃度が問題になります。また抽出物に結合して変質することもあります。臨界水技術を使えば、安全にお目当ての物質を高純度で抽出することができるのです。

超臨界技術を使ってできるものとしてはビールに使うホップエキスの抽出、脳や目によいとされる魚に含まれるDHAやEPAの抽出、そして最近話題のバイオ燃料にも応用されています。このような臨界水は、じつは地球の奥深くでも影響していると考えられています。

私たちが暮らす地表面では一気圧であり、水は100℃で沸騰するのが当たり前です。しかし地中奥深く、また海底奥深くでは水が臨界水の状態で存在しているかもしれません。その臨界水は、色々な物質を抽出したり合成したりします。

地面に隆起して私たちの役に立つ鉱脈はこの臨界水が作ったとされます。また私たちの祖先である生命の始まりも、深海において臨界水が作り出したアミノ酸が海水で冷やされて固定化されたものかもしれません。

地球は水の惑星と言われますが、まさにそのとおり水によって支配されている惑星なのです。

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