【8割出勤の意味】
年次有給休暇(以下、年休)は労働者の強い権利です。これは、使用者から与えられる休暇ではなく、勤続半年間経過すれば自動的に発生する法律で認められた権利です。
ただし、その要件に【8割出勤すること】というのが盛り込まれています。使用者側にはこの要件を盾にとり、年休を与えない、ということがままあるようです。
8割出勤とは、労働の義務がある日を10割とし、そのうち8割出勤していれば年休の要件は満たされます。
労働義務がある日を基準としますので、休日は含まれません。企業によっては休日をも含めた延べ日数の8割として計算しているところもあるようですが、これは間違いです。
年休を取得した日は労働義務の無い日とされますが、勤怠上は「出勤扱い」となりますので、年休の要件に不利になりません。
労働者の年休付与日数は、採用後6か月の経過で10日です。その後1年経過毎に1日加算されます。
その年の年休日数→(1年6か月時点で、10日+1日=11日)
たとえばこの1年間体調が悪くて出勤率が8割に満たなかったとします。その場合は、年休の付与要件から外れますので、年休は発生しません。その年の年休日数→(1年6か月時点で、0日)
※前年からの繰越があった場合はその日数を加算
しかし、翌年は元気になり1年間の勤務が8割を満たしたとします。この場合は年休は発生しますが、勤続年数は8割満たなかった前年も含めます。
(2年6か月時点で、10日+2日=12日)
つまり、8割に満たない年があっても、勤続年数には繰り入れるということです。
なお、未消化の年休日数は、翌年への繰り越しが認められますから、労働者は最大40日の休暇権を保持することがあり得ます。