【普通解雇】
解雇は使用者側からの一方的な意思表示によって労働契約を解除することをいい、整理解雇、懲戒解雇そして普通解雇の3つがあります。
整理解雇は経営危機や事業所閉鎖などの経営規模縮小に伴う人員整理による解雇をいいます。
懲戒解雇は重大な服務規律違反や犯罪行為などにより、企業内の秩序を乱した場合に秩序罰として行なう解雇をいいます。整理解雇が企業側の都合であることに対し、懲戒解雇は労働者の行いに理由がある場合の解雇です。
その他の解雇は普通解雇といわれます。労働者が正常な勤務に耐えられず、労務の提供が不可能になったような場合に行う解雇をいいます。
整理解雇や懲戒解雇は立派な理由があるのに対し、普通解雇は通常の状態で行なわれる解雇なので、特に労働者の不利益にならないように吟味する必要があります。
民法では第一条で信義則や権利濫用の視点から解雇を制限し、また無謀な解雇は同90条の公序良俗の観点からこれを制限しています。労働基準法でも労働者に対して不利益になるような取扱を禁止していますが、これは解雇にも当てはまります。
通常は以下の要件を満たさないと解雇は認められませんが、この要件を満たす事は過去の判例から非常に難しく、大抵のことでは解雇はできないと思ったほうが間違いありません。
- 解雇の必要性が本当にあるのか?
- 解雇回避のための努力を尽くしたか?
- 人選に感情が入っていないか?
- 説明・協議、納得を得るための十分な手順を踏んだか?
解雇に際し、就業規則や労働協約が無い場合は、やむをえない事由により解雇が可能です。しかし就業規則や労働協約がある場合は、そこに解雇についての定めが有り、それに照らし合せ、定めにあたるかどうかを吟味しないと解雇できないのです。