経営者の解雇権を暗に盛り込んだ改正労働基準法が6月27日、参院本会議で可決、成立しました。半年以内に施行される模様です。
今回の改正案原案は今まで最高裁判所の判例によるしかなかった「解雇」について初めてそのルールを明言したものでした。
政府原案:
「使用者は労働者を解雇できる。ただし、社会通念上相当であると認められない場合は無効」
ところがこれを受けて野党は「使用者が自由に解雇できる」との印象を与える「首切り法案」になると強く反発し、与党もこれを受けて修正協議をし「解雇できる」との部分は削除されました。
さらに野党は「解雇されない条件」を盛り込むよう要求しましたが、今回は見送られたようです。
改正表記:
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」
しかしこの表記は「解雇できることを含んだ」表現ある点に注目しなければなりません。明らかに不当解雇の場合は抑制されるでしょうが、そもそも解雇についてのトラブルは労使問題の最多事項であり、「解雇したい企業」と「解雇されたくない労働者」の実態を受け、円満な解決を促す改正労基法ですが、どうも「解雇したい企業」に都合のよい法であることに間違いないようです。