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[251]年休取得者に対する不利益な取扱い

最近、労働基準監督署が摘発するような事件が多くなり世間を騒がせています。企業のサービス残業や違法な労務管理などが広く報道され、事の重大さを初めて知った経営者も少なくないのではないでしょうか。そのせいか問題意識も高まり、会社の労務管理もだいぶ労働基準法に則って運用されるようになってきたと思います。
 
年次有給休暇ついても以前は全く取れない企業が多かったですが、最近では「とりあえず取れるようになった」という声も多く聞かれます。しかし、一方で管理監督者の意識は変わっておらず「法律でそうなっているから仕方なしに取らせている」という感覚も多いのではないでしょうか。
 
・管理監督者のあるお言葉
 
「年休?請求があったら取らせますよ。ただし、その分本人評価は下がりますよ。年休を取らない人に対して不公平ですから。」
 
こういう管理監督者はおそらく、年休をしぶしぶとらせているのでしょう。そして、その請求用紙の理由欄に「家族旅行」とでもあろうもんなら、いやみの二つや三つ言っていると思います。そのたびに労働者はいやな気分にさせられていることでしょう。
 
こういったパワハラにも似た行為を誘発するのは請求用紙に理由欄があることが原因です。ただちに理由欄を削除するよう要請しましょう。(但し理由を問うことの合理性もあります。参照⇒[250]年休の理由と時季変更権
 
労働基準法が定める年休の規定(39条)には労基法附則136条という附則規定があります。この規定には「有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」と定めています。
 
つまり、管理監督者は年休の請求があった場合、それをとらせるのみならず、とったことについて、労働者に不利益になるようなことはしてはならないと規定しているのです。
 
禁止されている行為例:
 
・年休を取ったことを理由を、給与・賞与に関わる評価を下げる
・年休を取ったことを理由に、諸手当をカットする
・年休取得日を勤務日数に算入しない
 
また、年休を取りにくい部署、あえてとらない人を優遇することも、他方で年休取得を抑制することになるので禁止となっています。
 
そもそも年休は、労働者に十分休んでもらうこと、そして十分充電してもらって、元気に働いてもらうことを主旨としています。社員は会社の大事な宝です。この主旨を管理監督者は十分理解して運用にあたることが肝要です。
 
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