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[253]競業避止違反を認めた判例

―ライバル会社に転職した社員が違約金支払い命令―
 
前回読者Q&Aでお答えした競合避止ですが、関連するこんな記事を見つけましたので紹介いたします。
 
2007年4月25日の日経新聞に元ヤマダ電機の男性社員が同業他社に転職したとして競業避止義務違反として東京地裁は140万円支払い命令を下しとする記事がありました。
 
これはヤマダ電機に「退職後一年間は競業他社に転職しないという誓約書」という社内規程があり、裁判所はこれを有効としたものです。会社側は420万円の違約金を請求しましたが、判決では140万円に収まったようです。
 
判決では、この社員には「営業機密の保持」義務があり、「幹部社員であることを重視」、さらに転職期間の「一年間」も「不当に長いとはいえない」としたものです。
 
違約金の算定は、同社規程により、退職金の半額と退職直近の給与6か月分で合計が420万円とのこと。裁判所は「退職金の半額」は妥当とし、給与については6か月分ではなく1か月分としました。その結果が143万円。
 
これを逆算すると、退職金は175.2万円、月給は55.4万円になります。年収に換算するとは660万円。幹部ですからおそらく残業手当は無しでしょう。違約金の算定条件からボーナスも給与に含まれていると考えられます。
 
幹部社員とはいえ全国チェーンヤマダ電機の店長としても店舗数315(平成18年)もあれば、相当数の幹部がいると思われます。全国チェーンの店長というのは、店長が足りないため「とりあえずあてがわれ店長」である可能性が高く、本当の幹部であるかどうかが疑問です。
 
ましてや年収で1000万いかない幹部は「名ばかり幹部(名ばかり管理職)」である可能性も高いです。つまり平社員。
 
このような平社員を競業避止で契約で縛られるとすると健全な就職・転職を阻害することにもなりかねません。今後同種の判例を見守りたいと思います。
 
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