「対価型セクハラ」とは、職場の地位を利用し、性的関係強要しそれを拒否した女性社員を解雇するなど、性的言動に対する女性労働者の対応によってその女性労働者を解雇したり降格や減給などの不利益を負わせるような行為をいいます。
社用外出に女性社員を同行させ、車中で体に触ったり、高級レストランで食事をし交際を迫ったり、その見返りとして昇格や昇給を匂わせ、また、従わない場合は降格や解雇を匂わせるような一連の行為を対価型セクハラといいます。
このような場合に、女性が断ったことを理由に、その報復として解雇されたのであれば、解雇権の濫用にあたり、この解雇は無効です。
また、解雇されるまでには至らずとも、退職を迫ることはよくあることです。この場合も本来退職の意思は無いわけですから、この退職届(辞表)は無効です。運悪く退職してしまったあとでも、退職しなかった場合に受けられるであろう賃金を損害賠償として支払いを命じた判例もあります。
被害者がセクハラを抗議して会社内が騒然となり、大きなトラブルとなった場合、当事者に退職を迫るようなことも多く見られることですが、これは民法の不法行為に当たります。
そもそもセクハラにあった被害者がなぜ退職や解雇の憂き目を見なければならないのか、ということを考えると、そこに事業主の大きな責任が見えてくるわけです。こんなことで会社の優秀な人材失うほどばかげたことは無いと思います。事業主はセクハラ対策を本気で考えなければなりません。
セクハラが起きると、被害者のみならず、加害者も大変だし、会社も事後対応が大変です。