2004年(平成16年)労働基準法の改正により、有期雇用契約(期間の定めの有る雇用契約)の上限が今までの1年から3年になりました。例外として専門知識等を有する労働者との契約および満60歳以上の労働者との契約期間の上限は、従来の3年から5年に改正されました。これは労働者から見て、メリットとなる部分とデメリットになる部分とを併せ持っている改正です。
労働基準法第十四条
メリットとなる部分は、3年間は雇用が保障されるということです。デメリットは3年間は嫌でも雇用が続くということです。これを返せば、今回の改正はむしろ使用者にとってメリットの多いものとなっています。
1年毎の契約では、毎年契約を更新しなければなりません。そしてそれを毎年繰り返せば、期間の定めの無い契約とみなされ、簡単に契約を終了できなくなります。それを終了すれば解雇と同じようにみなされ、解雇の正当性・合理性を求められます。
1年毎の期間契約は更新を数回してしまえば事実上終了できない契約なのです。そのことを知らない使用者は一年毎の契約は、業務状態に合わせて短い期間で契約を終了できると錯覚していました。とんでもない間違いだったのです。
ところが今回の改正では期間3年の雇用契約が可能ですから、1回更新しても6年で雇い止めができます。これが一年契約の場合は6回目の更新となり、簡単に契約を終了できません。契約期間が延びても結局は契約終了しやすくなったのです。
契約期間が1年というのは結構更新が忙しいものです。そして毎年更新してくれるのかどうか?、時期が来るとやきもきするのも事実です。しかし契約期間が1年というのは、1年で自由になれるということも意味しているのです。
◆有期雇用契約を締結するときの新たな注意点
更新・雇止めのルールは労働基準法第14条第2項、第3項に記述されています。
有期雇用契約の締結時および当該労働契約の満了時の労使間の紛争を未然に防ぐために「使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な基準を定めることができる」ようになりました。
さらに前項の基準に対し、行政官庁は使用者に対して「必要な助言および指導ができる」ようになっています。
基準は厚生労働大臣が定めることとされ、内容は以下の通りです。
1.契約締結時の明示事項
有期雇用契約の締結時には、その契約の更新の有無、契約を更新する・しないの基準を明示しなければなりません。
2.雇止めの予告
契約締結時に更新する旨を明示していた場合で、かつその労働者を1年を超えて継続して雇用していた場合に雇い止めをする場合は、契約期間が満了する日の30日前までに更新しない旨の予告をしなければなりません。
3.雇止めの理由の明示
使用者は雇止めの予告後、または雇止め後にその理由を労働者が請求した場合は、遅滞なくこれを文書で交付しなければなりません。
4.契約期間についての配慮
使用者は契約を1回以上更新し、1年を超えて継続雇用している有期契約労働者との契約を更新する場合は、契約の実態およびその労働者の希望に応じて契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。