[07]身体の軸
ここまでの話しを簡単にまとめてみましょう。
身体の癖は、赤ちゃんの時から出来てきています。
その癖を、直立するために何度も補正を繰り返して行きますが、補正してバランスが悪くなり筋肉が耐えられなくなった時に痛みの症状として現れます。また、姿勢を維持するのに、背部の筋肉で支えていると癖が強くなっていきます。
癖を弱くするには、「大腰筋」を使うことです。そこで、大腰筋の使い方の練習をしてきました。自分のイメージは作れましたか?そして、日常でちゃんと大腰筋を使えるようになってきましたか?この姿勢は、次のステップに行く前にどうしても必要なことなのです。
次のテーマは、身体の軸です。日常生活で自分の軸を意識して生活している人は、まずいないと思います。ですから、自分に軸があることさえ分からないでしょう。それが、人の身体では何処にあって、どのように使えるかです。
武道では3本の軸を使います。右側股関節の軸、中央の軸、そして左側股関節の軸です。ここで言う股関節の位置ですが、足の外側ではなく内側の中央から3cm位外側にあると意識して下さい。
人の歩く後ろ姿をじっくり観察してみて下さい。ほとんどの人は、この右側股関節、左側股関節の軸よりも外側に自分の重さをかけて歩いています。身体を捻って後ろの足で蹴って移動しているからです。大腿骨の形は、股関節の部分で60度内側に折れ曲がっています。その折れ曲がっている部分の外側に重さをかけているのです。身体を左右に揺らし、お尻を左右に振って歩いている状態です。これでは、自分の軸なんて全く感じられないでしょう。
この3本の軸を使うことで何が変わるかというと、簡単に言うと無駄な動きがなくなり、効率的に身体の力が出せる状態になります。例えば、長時間の歩行とか、階段を上るとか、重いものを持ち上げるとかです。手、足の力が3?5倍強くなると考えて貰ってもいいでしょう。強くなれば、同じ仕事をしても疲れずに動けるようになるのです。
では、3本の軸を意識して使っていくエキササイズの開始です。
まず足を軽く開いて、伸ばして座って下さい。勿論大腰筋を使いますから、両方の足を持ち上げるような意識です。次に、右の足を伸ばしたまま中央に寄せます。この時に分かりやすいように、他の人に足が閉じないように軽く力をいれて、足首を持って貰って下さい。はい!中央に寄せて下さい。抵抗されても中央に持っていけましたか?この時、右の股関節内側を中心軸に重ねるように意識してみて下さい。出来たら、反対の足もやって下さい。
岸 元(きしはじめ)