[21]手・足の指の使い方(2)
今回は手の指の使い方のお話です。5本の指を身体と連動させた使い方をするために、機能的に3種に分類します。親指、示指とあとは3本の指です。どの指も、指先の方向へ向かって動かすのですが、本当に指先から進めていくように動かします。すると、無駄な力を使わないで物を動かしたり、持ち上げたり出来ます。
まずは、親指からです。手の向きからいって、水平の内側、あるいは、下方向に向かって動かします。手首を誰かに両手で掴んで貰って下さい。その場所で動かさないようにです。では、親指を水平内側に向かって動かしてみましょう。両手でしっかりと掴んでいる人をその方向に動かすことが出来ます。親指を下に向けて、親指の先から下に向かって降ろしてみて下さい。その人を下方向に動かせます。ほんとうに?!と思うでしょうが、本当です。自分の身体の中心軸を崩さずに、水平方向の円運動が出来ます。だから、人を動かせるのです。
では、示指はどうでしょう。示指の運動の中心は肩関節になります。同じように、誰かに手首をしっかりもって貰います。示指の先を上に向けて、指先から進むように上に上げてみましょう。抵抗されていても腕を上げられるでしょう。示指は360度ある程度自由に動かせるので、どの方向にも動かせます。
中指、薬指、小指の3本の組み合わせではどうなるのでしょう。これらの指は、体幹の姿勢に大きな影響が出ます。例えば、手のひらを上に向けて、この3本の指を曲げ手首を屈曲すると、身体全体が屈曲します。逆に手のひらをしたに向けて3本の指を伸展させ、手首を伸展させると身体全体が伸展します。
基本的にはここに書いてあるように使いますが、具体的に例を挙げましょう。テレビでご覧になった方もあるかもしれません。
うつぶせの人を起こすとき、両方の脇の下に、5本の指を反らせたまま手首までを差し込みます。示指の先が上に進むように体を起こしてみて下さい。決して腕の力を使わないで、ただ立ち上がるだけです。うつぶせの人は簡単に持ち上げられるはずです。
では、正座したまま向かい合って下さい。両脇に手を差し込みます。示指と拇指をピンと張ってその間で脇を支えるようにします。示指が真上を向くようにして示指を上に上げて下さい。相手の身体全体を持ち上げられましたか?
示指と拇指の先を付け、Oの形にして力を入れると脇が開きます。そして身体全体が屈曲します。針仕事をしている人の背中が丸くなるのはこのためですが、この姿勢では、とても肩が凝ります。小指を軽く握り込んでみて下さい。身体全体は伸展し、肩こりを防止できます。いろいろな使い方があるはずです。工夫してみてください。
岸 元(きしはじめ)