[22]続、立って歩く
大腰筋を使って歩くために、一本下駄を購入しました。使い初めて1ヶ月が経ちました。その間、気づいたことをお話ししようと思います。
一番の違いは足の出し方でした。折角大腰筋を使い、身体の中心の力を末端につなげて動く事を意識していたのに、足を出すときに足の力を使っていたのです。どう言うことかというと、「ナンバ歩き」の足の出し方と通常の足の出し方は違うのです。一本下駄を使ってみて初めて分かりましたが・・・。
足を出すときに、当然体重の移動がいります。これは身体の3本の軸を使い、上体を左右に揺らして体重移動するのではなく、左右股関節の内側軸の間で移動するんでしたよね。では、その次の足を出す動作です。通常の歩き方では、身体の捻れで足を出しますが、「ナンバ歩き」では前後の揺れで足を出すのです。確かに、籠を担いで走ったり、荷物を担いで走るのですから、捻れで足を出していたのでは、担いでいる肩が持ちません。身体を捻ると言うことは、腰椎の3番を中心にして、その上下で反対の動きになります。右足が前に出れば、右肩が後ろになると言うことですからね。歩いたり、走ったりすれば、必ず籠を担いでいる肩は前後に動かさなければならなくなります。肩の皮がむけてしまいますよね。
では、胸骨の上げ下げの動きを思い出してみて下さい。身体全体の前後のうねりの動きです。この動きで足を前に出すのです。身体の中心からの揺らぎの力で足を前に出せば、後はその足は重さを垂直に支えるだけです。つまり、股関節や膝関節の負担は極端に減少します。おまけに、足を出すのではなく、腰の前後の揺らぎで歩くとつまずかないのです。ただ、この動きは普通に歩くにはとても不自然な動きになります。ですから、この動きを出来るだけ自然な動きにして行かなくては成りません。練習では極端に動いて練習してみて下さい。その動きを出来るだけ小さくしていく練習も必要になります。
もう一つ、足を前に出す前に足を上げる動きが必要ですね。足を前に出そうと思うと、どうしても股関節を屈曲させる動きになります。大腰筋を使い、へその位置で身体を屈曲するようなイメージで動いても、足から出すとどうしても中心からの力が使えなくなります。そこで、足を上げるイメージは、立位で足全体を身体の中心に引き上げる動き、大腰筋を使う動きになりますが、これを使うとよいでしょう。一本下駄を履いて、足を上げようとすると必ずこの動きになります。特に、階段を上げるときには、この動きでないと一本下駄で階段は上がれません。そうして、次の動きが、これまでお話しした動きになるわけです。インターネットで探せば、一本下駄が手に入ります。
岸 元(きしはじめ)