[23]体重移動の練習
先日、神韻芸術団の公演に行ってきました。一目見たときから武道の動きを感じ、じっくりと観察してしまいました。バレエと同じ動きをしているようなのですが、どこかが違います。履き物が違うのが一番大きな違いでしたが、身体の軸と体重移動に非常に興味がわき上がりました。
特に身体を回転させるときに、バレエではトウシューズを着けた側を中心軸にして、その軸で回転していきます。ところが、両方の足で左右の両方の軸を使いながら回転させるのです。右股関節の軸に重さを移し、左足つま先を右踵後ろに置きます。左足踵を右足の小指横に置くように踏み込みます。それで180度回転します。左側踵を置いた瞬間に左側に体重移動が終わっていますから、右足つま先を左の踵外側に置き、左側小指側に右踵を踏み込んでさらに180度回転する。これを連続して行うと身体は左側に連続して回転していくのです。だから足先を見ていると、めまぐるしく動いていくのですが、身体は一本の軸で回転しているように非常にスムーズに回転しているように見えました。
ここで一番気を付けないといけないのは、自分の尻尾(尾骨)を真下に向けると言うことです。そうでないと、身体の軸が使えないのです。その軸を中心にして回転できません。これを歩くという日常の動きに応用してみたいと思います。
動くときにどこから動かすかで、全体の動き方が全く変わってきます。例えば、歩くときに足を出そうとすると、必ずもう片方の足で地面を蹴ってしまいます。すると身体をウェストの位置で捻りながら前に進むという動き方になります。当然、腰で体重移動するか、上半身で体重移動するかのどちらかの動きになります。前に書いている軸が1本で回転する動きに習って、動いてみましょう。
まず、両足を平行にして立ちます。右足を動かしてみましょう。体重移動は大腰筋の左側を緊張させるだけです。左側を緊張させて右足を左側の足に引き寄せます。足を前に出すという感覚ではなく、引き寄せた右足をそのまま前に運びます。今度は着地させた右側の大腰筋を緊張させて、左側の足を右足に寄せます。その勢いで、同じように前に運びます。この繰り返しが歩行になります。
巧くできているかどうかのチェックは、両足を平行に肩幅に開いて立ちます。右足を左足に寄せる練習です。誰かに右足首をもって貰い、左足の方に寄らないように抵抗してもらいます。左側大腰筋を緊張させ、足を上げずに右に寄せてみて下さい。抵抗されても動くはずです。そのままの流れで右足を前に運びます。大腰筋を緊張させると書きましたが、ほんの軽くへその位置を引っ込める感じでよいです。
岸 元(きしはじめ)