[24]再度示指の使い方
私が治療するときに、必ず調整する箇所があります。それは、腋下の筋の緊張を取ると言うことです。腋下の筋肉には、肩胛骨から上腕に付いている筋肉、肋骨に付いている筋肉、骨盤に付いている筋肉があります。姿勢を維持するために非常に重要な場所になります。特に身体の左右バランスを維持するために重要になります。
仰臥位で胸の左右に手を置き、中心に向かって押してみて下さい。左右どちらか、あるいは両方の肋骨のクッションがない人がいます。これは、物を持ち上げたり、持ち運んだりするときに腕の筋肉だけを使っていると、腋下の筋肉群に負担が来て、腋下の筋肉群が硬直している状態です。主に右腕の力をよく使う人であれば、右側の肋骨が下がります。当然、左側は上がるようになります。裸で立ってみて下さい。自分の肋骨、鳩尾から左右の肋骨はどうなっていますか?もし、ここに書いてあるとおりなら、右の示指を反らしてみて下さい。腹側の肋骨の高さが同じくらいになるはずです。小指を軽く握っても同じようになります。肩の高さもほぼ同じようになるはずです。
どうしてかは考えないようにします。しかし、そうなるのです。以前、身体の歪みは日常生活で次第に進んでいくという話しをしたことがあると思います。まさに、日常使っている指で姿勢がコントロールされていたのです。例えば、針仕事をする人、どうしても示指と拇指に力を入れます。目に浮かびませんか?夜、背中を丸めて一生懸命に繕い物をしているおばあちゃんの姿です。示指と拇指に力を入れると、両方の肩の前面に力が入ります。肩の前面に力が入ると背中が丸くなるのです。どうしても示指と拇指を使わなければならない人は、小指を握り込むと背中は丸くなりません。肩が凝らなくなります。
片方の手に重い買い物袋を下げて歩いている女性の姿はどうなっているでしょう。右手に持てば身体は右に傾き、体を起こそうとして左側の広背筋(上腕から骨盤につながる筋肉)を緊張させて歩いています。少しでも左側の負担を減らそうと、右腕を屈曲させます。すると右肩の前面に力が入り、ますます背中が丸くなり、荷物を持ち上げるのが困難に成ります。
ここでです!!右の示指だけを反らせて中指、薬指、小指の3本で荷物を持ってみて下さい。体のバランスはほとんど崩れないはずです。身体がしっかりしていますから、歩くのも楽ですし、重い物を持っていてもいつもよりも長く歩けるはずです。肘に荷物をかけていても同じです。荷物を持ち上げようとして、指を握り込むのではなく、示指を反らせてみて下さい。荷物が軽くなりますよ。
岸 元(きしはじめ)