私がリストカットを始めたのは高校1年生の頃からです。一番初めに切った時の事は一切覚えていません。(自分でも何故だかわかりません。)そんな私は現在に至るまで、このリストカットに対してあまり意識すらしていませんでした。
初めて気づいたのは調子が悪くずっと不眠が続いていて内科にかかったときの事です。初めは血液検査とレントゲン。普通の診察でした。眠れない事を訴え、その日は睡眠薬を出されて帰されました。何故だかいきなりハルシオンを出されました。
後日また診察に行くと、先生が、「血液検査の結果が凄く悪い。赤血球が足りないよ。」とビックリされていました。具合の悪いのもそのせいだろうと。そその頃の私は、全く笑顔も無く無表情。感情をあまり外に出す事も無く、何の気力もありませんでした。医者として何かを察知したのでしょう。先生は「僕が紹介する病院へ行ってみてください。きっと何が原因かわかるはずだから。」とおっしゃり紹介状を書いてくれました。その時私は、「ん?どういうことだ?」と戸惑うばかり。
紹介された病院は心療内科と内科の病院。入って紹介状を見せると、簡単なテストを受けてくださいと言われて受けました。何か質問に○×で答えるやつです。
質問に○×で答えながら「学生時のテストみたいだ。あ・でも○×問題ってなかったか」などと呑気に思っていました。答案を返してしばらくすると診察室に呼ばれました。開口一番先生は「鬱病って知ってます?」です。ストレートだなぁ、と思いながら「はい。なんとなくは。」と答えると「それです。」ときっぱり、はっきりとおっしゃいました。
「何か不眠のほかに思い当たる節は?食欲無くて食事とってないでしょ?」う?ん。流石は心療内科医的確にさくっと突いてきます。「はい。そうですね。最近はあまり食欲ないです。」と答えると、さらに「食事だけじゃここまで貧血ならないんだけどな。手切ったりとかってしてない?」
!?ドキッ!です。心臓が口から飛び出るかと思いました。「そういえばしてます」と小さく答えた私に先生は「傷口を見せてください。」とおっしゃるので見せました。先生しばし無言。もちろん私も無言です。そしておもむろに口を開いた先生は静かな優しい声で「えっとね。これは病気の一種なんだよ。だからゆっくり通院して治して行きましょう。あなたがこれを病気だと受け止める事ができて、治す気があるのなら。ただし、精神科に転科したほうが良いですよ?どうしますか?」とおっしゃいました。
そうです。この瞬間まで私は切り続けていながら、それが病気だと認識していなかったんです。鈍いというかなんというか。バカなのにもほどがあります。情けなし。そして、精神科に通い始める事になりました。
ただ、私は純粋に病気を治そう、という意気込みで通い始めたのではないのですよ。なんとなく興味あるし行ってみようかな?という軽い感じで。真剣に悩んで悩んで精神科の門を叩いた方々、申し訳ないっす。そして、私のリストカット・通院ライフが始まるのでした。

岩倉玲

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岩倉玲