麩(ふ)は小麦粉の中に含まれるグルテン(たんぱく質)を固めて焼いたもの。小麦粉には強力粉と薄力粉がありますが、グルテンを多く含んだものを強力粉といいます。こねると粘りが出てパンや麺などを作るのに適しています。
グルテンを含まないものが薄力粉で、これはこねても粘りが出ません。そのためケーキやてんぷらの衣、お好み焼きなどに向きます。薄力粉がないからといって強力粉をてんぷらやお好み焼きに使ったら大変なことになります。てんぷらじゃなくて団子揚げになってしまう。ま、それもおいしいかもしれませんが。
小麦粉を製粉する時、外側から挽いていきますが、外側の部分はグルテンが多く含まれていてこれが強力粉になります。内側はグルテンが少なく、薄力粉になる。また小麦の品種によってもグルテンの量は変ってきます。その昔、チューインガムが貴重でなかなか手に入らなかった時に小麦粉をほおばって噛んでいるとグルテンが固まってガムみたいになった、とは年寄りの話。
強力粉を水でこねると、次第に粘りが出てきます。これを水で洗いますと粉の部分は洗い流されて、グルテンの塊が残ります。これが麩の原型となります。これを伸ばしながら筒に巻きつけ、釜で焼いたものがなじみのある「麩」になるわけです。
良い麩は、吟味した小麦粉から取りだされる良質のグルテンを使い、習熟した職人技と勘によって作られています。そのルーツは禅僧が中国からもたらしたものとされています。良質の植物性たんぱくは禅道にも欠かせないものだったのでしょう。