今日はお漬物の話です。漬物は塩分を使って野菜を脱水し、微生物によって発酵させた食べ物です。漬物は「生=なま」か「生でないか」という疑問の答えは「生でない」というのが正しいでしょう。加熱調理はしていませんが調理済みであることは確かです。
さてその微生物による発酵ですが、これが実に大事。そもそも人間や動物は、その地域の水を飲み、その地域で生えている植物を食べて、その地域に順応します。水にも植物にもその地域独特の微生物がいて、それを体内に取り込むことで、その地域での健康を手に入れるのです。
したがって、古来よりその地域で食べられている「漬物」は、その地域で生きていくために必要な微生物を体内に取り入れる大事な作業だったのです。キムチやピクルスもいいですが、地元の漬物を食べることで健康を手に入れることができるのですね。
さて、最近漬物の中でも注目されているのが「すぐき漬け」です。すぐき漬けは「すぐき菜」を塩で漬けた素朴な漬物。その起源は諸説ありますが、桃山時代に京都の上賀茂神社の杜家が栽培したのが始まりだと言われています。江戸時代初期に著された「日次紀事」にも「すぐき」の名が登場していますが、一般人の口に入るようになったのは明治維新以後のこと。
「すぐき」の由来はその酸っぱさです。年を経て酸味を生ずるので「酸茎(すぐき)」と称されました。噛みしめるたびにクセになる酸っぱさが口中に広がります。そして最近「すぐき漬け」に含まれるラブレ菌という乳酸菌が注目を浴びています。ラブレ乳酸菌はスーパー乳酸菌とも称され、世界中でこの「すぐき漬」のみに存在する「健康を増進する純植物性乳酸菌」としてルイ・パストゥール医学研究センターによって発見・分離されたのです。日本古来の「すぐき漬け」は世界に誇れるスーパー漬物だったのです。
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