だいぶ前だったか、北野たけし出演のテレビで臭いもの特集があって、その番組中に開けた缶詰がこれ。プシューと開けた瞬間、出演者は驚愕うろたえ叫び、まさに阿鼻叫喚の様相を呈していた、といっては大げさか。それくらい臭い缶詰らしい。
この缶詰は北欧のスウェーデンの伝統的な発酵食品「スールストレーミング」といわれるもの。思いッきり臭い魚の缶詰である。これは半発酵の塩漬ニシンを缶詰にしたもので、缶詰にした後もさらに発酵させるので缶はパンパンに膨らみ、危険な様相を呈している。まさに究極のニシンの塩辛だ。
スールストリーミングは、北欧の伝統的な保存食で、長期保存のため大量に獲れたニシンを屋外の穴に塩漬けにして埋めたことから始まる。日本にも同じような保存食があり、鮒鮨、なれ鮨などは有名。江戸前の寿司も、昔は冷蔵庫が無いので、塩と酢で「コハダ」をしめたものが起源。だから江戸前の寿司といえばほんとはコハダをさす。塩漬け発酵食品は魚を常食する文化圏では腐敗しやすい魚の保存手段としては欠かせないものであり、それがまた文化となっている。