「香り松茸、味しめじ」などといわれますが、国産の松茸は香り・味、共にキノコの王者といっていいくらい美味しい。いや、キノコという括りからも突出した松茸は食材として別格といってもいいでしょう。世界の三大珍味「トリュフ」に負けたのは、その松茸が日本国産ではなかったからではないでしょうか?国産それも京都は丹波産の松茸ならば、世界の三大珍味に選ばれたに違いありません。
昔から日本人は、秋の味覚として松茸を愛してきました。神代の時代より食用にされていたと考えられ、弥生時代の遺跡からは松茸を模した土偶が発見されています。また「日本書記」には、松茸らしきキノコが天皇に献上されているという記録が残っているなど、昔より松茸が日本人にとって特別のキノコであったことをうかがわせています。
しかし、なぜ、国産の松茸はこんなに高価になってしまったのか?
昔は松茸は秋になれば自然に出るもの、そしてそれは食べるもの、と決まっていました。赤松のひげ根に共生して育つ松茸は奥深い森ではなく、人が出入りする里山に生えていました。松茸の菌糸は赤松のひげ根に共生して成長しますが、その赤松が昔に比べると病虫害や地球温暖化のために少なくなってしまったのです。
また、昔は火をおこすために柴刈りや葉掻きで山に人の手が入りましたが、今は薪など取る人も無く、落ち葉が厚く積もって山が荒れてしまったのも原因の一つです。松茸の通気性が悪くなると菌糸が育たなくなってしまうのです。
また、松茸は他のキノコと違い、人工的栽培ができないとてもデリケートなキノコです。また気温に敏感で、採れる期間も秋の約1ケ月間と限られるため、とても貴重な食材となってしまいました。そんな理由より、庶民にとって当たり前の秋の味覚が、いつのまにか高級食材化してしまったというわけです。
国産の松茸も色々ありますが、京都の丹波に産する松茸は他の産地の松茸とは格段の違いがあり、味はもちろん、香り、姿、形、歯ざわりが天下一品です。中国産、韓国産とは一味も二味も違う、丹波の松茸を賞味してみてください。多分唸ってしまいます。