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[456]絹ごし豆腐ともめん豆腐

豆腐はじつはとても贅沢な食べ物。そもそも豆というのは、タネ。それだけで同じ物を作り出すことができる栄養分がぎっしり詰まったパワーの塊。マメさえ食ってればまず健康と言わしめるくらいの食べ物です。そのマメからできた豆腐が栄養たっぷりでおいしいのは考えてみればあたりまえ。

さて、豆腐の製造過程ですが、まず大豆を水でふやかし、まるごと石臼でつぶして加熱、それを漉したものが豆乳。絞りかすは「おから」です。

その豆乳を「にがり」で固めたものが豆腐。にがりは海水から製塩するときにとれる副産物で、豆乳に加えることで、豆腐に微妙な味がついておいしくなるのです。

最近では、スーパーでもおいしい豆腐が多くなりましたが、それでもちゃんと作っている豆腐屋さんの豆腐には敵わない。なぜ、こうも違うのかというと、まず原料が違う。

先に述べたように、豆乳は丸大豆(大豆を丸ごと使うの意味)から作りますが、スーパーの安物豆腐は大豆油を搾り取ったかすを材料としています。また「にがり」の代わりに、硫酸カルシウムを使って固めています。だから食べると確かに豆腐なんだけど、豆腐の味がしないのです。

ところで、豆腐には「もめん豆腐」と「絹ごし豆腐」がありますが、これはどうしたことでしょう?

まず「もめん豆腐」ですが、これは豆乳に「にがり」を加えた後、穴のあいている容器の中に入れて、上から重石をして作ります。こうしてできた豆腐は濃厚で固めの豆腐です。

これに対して「絹ごし豆腐」は、豆乳に「にがり」を加えた後、そのままゆっくりと固まるのを待ちます。そうやって固まってできた豆腐が「絹ごし豆腐」。絹でこすから「絹ごし豆腐」というわけではないのですね。

どちらがおいしいというと、これは難しい問題です。本来同じ材料ですから、おいしいかどうかは優劣つけがたいのが本当のところ。硬いか柔らかいかの違いなのですから。

しいていうなら、もめん豆腐のほうが当たり外れが少ないといえると思います。絹ごし豆腐は、豆乳の濃さやにがりに左右されます。贅沢に作られた絹ごし豆腐はもめん豆腐に勝るでしょう。しかし、多くの絹ごし豆腐は水っぽくおいしくありません。要は頑固オヤジがやっている豆腐店を見つけるということに尽きるでしょう。

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