嘱託社員とは、業務を委託された社員のことで、一種の契約社員です。
実際は以下のような意味に使われます。
医師や弁護士を嘱託とする場合
定年退職後の社員を続けて嘱託とする場合
1.の場合は職務としての独立性が高く、職務執行について指揮命令を受けることが少ないので、このような場合は雇用契約ではなく請負契約とされ労働法の適用はされません。
2.の場合は、一旦退職して再就職しますから、自由な雇用関係を結ぶことができます。企業にとっては以前の年功序列の賃金体系を取らなくて良いですから経費の節減になるというメリットがあります。定年前と同じように指揮監督下に置かれますので労働法の適用になります。
定年後続けて雇用する嘱託社員の場合は以下のようになります。
・期間を置かず続けて勤務し、実質同じ職場、同じ職務内容の場合は延長して勤務しているとみなし、今までの勤続年数は考慮する。
・同じ理由より、年次有給休暇残余分は繰り越すことができる。
・年次有給休暇の算定の基準である労働日数については減少する場合が多いので新たな付与日数は当然以前とは異なる。
・退職金は定年退職時にもらうことができる。(別段の取り決めが無い限り)
・給与は定年前と同じ金額にする必要は無く、新たに自由に決めることができる。
・社会保険については、被保険者資格の喪失と取得の手続を行ない、保険料は再雇用時の賃金を基準とする。
雇い主は、嘱託社員の健康上の理由による作業能率の低下や6ヶ月前の更新拒絶を条件に、雇用契約の更新を拒絶することができる。つまり、いつでも雇い止めができるということです。
高齢化社会により今後ますます嘱託社員の活躍が期待されます。60歳定年も区切りがあって良いと思いますが、その後の人生も生き生きとしたいですね。