つい最近、慢性的連日の残業の為うつ病になり、それが原因で自殺したあるサラリーマンに対して労災保険が適用されました。つまり、自殺は労働上の災害であると法律が認めたわけです。これは会社にとっては重大な事件です。なぜなら、労災保険というのは本来使わずに済ますべき保険であり、それを使うということは企業の管理に問題があったということです。保険が適用になると、どうしてその事故が起こったか深く追求されます。そして2度とそのような事故が起きないように改善策を講じなければなりません。
このサラリーマンは恒常的に深夜まで残業していたとされます。自殺が労災適用になったと言うことは、会社としてはその自殺に対して責任があるということ。更に、今後このような事故が無いように務めなければならないということにもなります。当然企業としては、深夜に及ぶような残業はさせられなくなるでしょう。
この動きは今後労働者にとって就労環境が大きく改善されるものになると思います。労働基準法では、週の労働時間が40時間を超えた場合、また1日の労働時間が8時間を超えた場合は、残業とし割増賃金を払わなければなりません。ところが実際はどうかというと、就業時間を超えて残業していることが多く、しかもその部分は無給。これを「サービス残業」といいますが、残念ながらこれが横行しているのが実情です。
サービス残業は労働者に大きな負担を強いますが、事故が起こった時は逆に使用者側に不利な結果をもたらします。通常の残業ならば、使用者はその実態を把握し、しぶしぶながら残業代を払っているでしょう。しかし得てしてサービス残業は途中に居る管理者がその実態を隠し、トップがそれを知らないこともあるのです。事業部を競争させるような場合は、その部署の管理職は残業を数字で出してしまうと合理性に問題ありと不利な評価をされてしまいます。管理職だってサラリーマンですからね。
今、労働基準局ではパンフレットやポスターでキャンペーンを行っています。内容としては【労働時間は適正に管理されていますか】そして【労働時間の把握は使用者の責務です。労働時間管理の適正化を通じて恒常的な長時間労働・サービス残業・過労死などの問題を解決していきましょう】というもの。
これは何を意味するかというと、労働基準局がサービス残業が横行している事実を黙認できなくなってきているということ、そしてそれをなくそうという動きに他ならない、考えることができます。