■読者からの質問
私の職場はパソコンがタイムカード代わりになっており、店の店長により勝手に労働時間が8時間になるようにされています。時間外労働は毎日あたりまえです。タイムカードならばそのコピーを監督署にもっていけるのですが、証拠が無いためできません。残業分の時間外手当をもらうにはどうしたら良いでしょうか?又、監督署に届けでるにはどのようにしたら良いでしょうか?
■たまごやの回答
お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。
使用者は賃金を支払う上で労働時間の算定のベースとなる出勤簿を作成しなければなりません。出勤簿には出勤時刻と退勤時刻が記され、そこに本人のハンコが突いてあるのが昭和の頃。タイムカードが普及しますと出勤簿はタイムカードに置き換わりました。
今ではこのようなスタイルの出勤簿はなくなり、代わりに本人のIDカードを出勤退勤時にスキャンするもの、あるいは飲食店などではバーコードレジを利用して出勤退勤を管理するものが主流になっています。したがって、昔のような出勤簿はめったに見なくなりました。
しかし、時代は変わっても、出勤簿自体は作成しなければならないのは変わっていません。使用者は労働時間を把握するために、今なお出勤簿をつけなければならないのです。
で、お尋ねのケースですが、パソコンで管理されていることは問題ありませんが、そのパソコンで生成されるデータが出勤簿に当たるかどうかが問題です。
パソコンで生成されたとしても、労働の開始と退勤をそのつど本人が確認している場合は出勤簿とみなされ、なんら問題はないでしょう。本人が労働時間を把握するために出力を依頼すれば、印刷して見せてくれるはずです。
これを店長が本人の確認も無く、勝手に労働時間を入力しているとすれば、それはもう出勤簿ではなく、単なる「勤務計画表」でしかありません。それを出勤簿というならば、実際の労働時間は別であり、改ざんされた出勤簿といえるでしょう。
そこで対策ですが、毎日の出勤時刻と退勤時刻をノートを用意して自分で記録することです。メモでもかまいません。それを1?3ヶ月続けて、実際の給与明細とその自筆の出勤簿の記録が違っているようなら監督署に行きましょう。
監督署は事実関係を重視しますので、労働しているにもかかわらず、賃金が支払われていないならば、話に乗ってくれるはずです。しかしそれには証拠が必要です。そこで自筆の出勤簿が必要になるわけです。
監督署が改善命令をするとしたら、まず、毎日の出勤時刻と退勤時刻の確認を本人立会いの上で行うこと。(カードやバーコードの操作を本人自ら行うようにすること)。そのうえで一日の労働時間が法定を超えていたならば、時間外割増賃金の支払い命令を出すでしょう。
いずれにしても、自筆の出勤簿を作るなど、第三者が納得できるような証拠作りが必須です。